iLiNPが使用された論文

  1. Development of the iLiNP Device: Fine Tuning the Lipid Nanoparticle Size within 10 nm for Drug Delivery.
    ACS Omega 2018, 3, 5044−5051
    iLiNPの開発に関する一番最初の論文になります。
  2. The Use of a Microfluidic Device to Encapsulate a Poorly Water-Soluble Drug CoQ10 in Lipid Nanoparticles and an Attempt to Regulate Intracellular Trafficking to Reach Mitochondria.
    J Pharm Sci. 2019 Aug;108(8):2668-2676
    iLiNP同型流路を用いた水難溶性薬剤コエンザイムQ10の脂質ナノ粒子封入についての研究成果になります。
  3. Development of a Microfluidic-Based Post-Treatment Process for Size-Controlled Lipid Nanoparticles and Application to siRNA Delivery.
    ACS Appl. Mater. Interfaces. 2020 Jul 29;12(30):34011-34020
    iLiNPマイクロ流路デバイスで作製した脂質ナノ粒子溶液には有機溶媒が通常10~30%程度含まれていますが、これを放置すると有機溶媒が粒子の膜構造変化を誘引し、結果、粒子の再融合や凝集等が起こり粒径が意図せず大きくなることがあります。
    そこで、粒子作製用iLiNPの下流側に有機溶媒濃度を即座に下げるための希釈用マイクロ流路を連結した結果、従来よりも小粒径かつ粒径分布がシャープ(=高品質)な脂質ナノ粒子を作製できることがわかりました。
  4. Lipid nanoparticles loaded with ribonucleoprotein–oligonucleotide complexes synthesized using a microfluidic device exhibit robust genome editing and hepatitis B virus inhibition.
    J Control Release. 2021 Feb 10;330:61-71
    これまで困難とされてきた、マイクロ流路デバイスを用いたタンパク質封入脂質ナノ粒子の調製に、iLiNP型デバイスで成功した論文です。iLiNP型デバイスの優れた原料液混合(希釈)特性と高い流路カスタマイズ性によりそれが可能になりました。
  5. One-Step Production Using a Microfluidic Device of Highly Biocompatible Size-Controlled Noncationic Exosome-like Nanoparticles for RNA Delivery.
    ACS Appl. Bio Mater. 2021, 4, 1783−1793
    RNA封入脂質粒子は最近ですと新型コロナウイルスのワクチンなどで使用されています (mRNAワクチン)。アニオン性高分子であるRNAはカチオン性の脂質で粒子化するのが容易であり一般的ですが、カチオン性の粒子は体内の様々なところに非特異的に吸着するため、例えば高用量投与時における細胞毒性の発現などが懸念されます。一方、エクソソームなどのアニオン性脂質粒子や中性脂質粒子は非特異的吸着が少ないため、比較的低毒性のRNA運搬体粒子として期待されます。しかし、アニオン性高分子のRNAはそのままではアニオン性又は中性の脂質と電気的な引き合い(静電相互作用)が無いため、粒子の中にRNAを効率よく取り込むことができませんでした(内封率が低い)。今回の論文成果は、RNAの電荷をカチオン性分子でキャンセルしつつ、更にマイクロ流路デバイスのうち特にiLiNPを用いることで、アニオン性又は中性脂質粒子の中に高い内封率でRNAを内封できることを発見した点になります。更に、iLiNPの特性を活かして、細胞内に粒子を取り込ませるために必要な粒径に制御することにも成功しています。即ち、iLiNPの特徴的な流路構造が低毒性のRNA運搬体粒子を作るために重要ということがわかりました。
  6. Ultra-small lipid nanoparticles encapsulating sorafenib and midkine-siRNA selectively-eradicate sorafenib-resistant hepatocellular carcinoma in vivo.
    J Control Release. 2021 Mar 10;331:335-349
    脂質ナノ粒子の効果を最大化するために、iLiNPを用いた粒子サイズ最適化が行われています。
  7. Delivery of Oligonucleotides Using a Self-Degradable Lipid-Like Material.
    Pharmaceutics. 2021 Apr 13;13(4):544.
    千葉大学の秋田英万教授(現・東北大学)グループと日油株式会社が共同開発した自己崩壊性の脂質様分子ssPalmO-Pheを構成成分として含むsiRNA内包脂質ナノ粒子の調製にiLiNPが使われています。
  8. Preparation of size-tunable sub-200 nm PLGA-based nanoparticles with a wide size range using a microfluidic platform.
    PLoS One. 2022; 17(8): e0271050.
    iLiNPデバイスでPLGAナノ粒子を作製した論文になります。iLiNPデバイスを使えば原料溶液を流すだけでナノ粒子を得ることができ、更に送液条件を変えるだけで粒径をコントロールできます。PLGAは薬剤送達のキャリアーとして利用可能であり、論文では一例としてパクリタキセル(PTX)を搭載したナノ粒子を作製し、HeLa細胞を用いたin vitroでの抗腫瘍効果を確認しています。この実験ではPTX搭載ナノ粒子の粒径が小さい方(平均52nm)が、粒径が大きい方(平均109nm)及びPTX単独よりも速やかに抗腫瘍効果を発揮することを示しています。
  9. Microfluidic Device-Enabled Mass Production of Lipid-Based Nanoparticles for Applications in Nanomedicine and Cosmetics.
    ACS Appl. Nano Mater. 2022, 5, 6, 7867–7876
    3インレット型のiLiNPデバイスで高濃度脂質溶液から脂質ナノ粒子を作製した論文になります。高濃度脂質溶液を使用すると通常は脂質ナノ粒子の粒径が大きくなりますが、iLiNPデバイスを使用することにより粒径増大を抑制しつつナノ粒子濃度(particles/mL)を上げることに成功しています。
    脂質ナノ粒子の生産量を上げる方法として単位時間あたりの送液量を増やす方法が一般的ですが、送液ポンプなどの設備が大型化してコストが増える、後工程として濃縮操作が必要になる、などの課題があります。本論文のように高いナノ粒子濃度の脂質ナノ粒子懸濁液をiLiNPで得られるようになればこれら課題を解決することも可能です。
  10. Microfluidic Platform Enabling Efficient On-Device Preparation of Lipid Nanoparticles for Formulation Screening.
    ACS Appl. Eng. Mater. 2023, 1, 1, 278–286
    「2種類の脂質原料液を任意の比率で混合して様々な配合比の脂質溶液を作るiLiNP型マイクロ流路」と「脂質溶液と薬剤水溶液(核酸溶液など)を混合して薬剤内包脂質ナノ粒子(LNP)を形成するiLiNP型マイクロ流路」を直列に並べることで、様々な脂質配合比のLNPを迅速かつ簡便に調製することを可能とした3インレット型iLiNPが紹介されています。
    製剤検討の初期段階において市販されている2インレット型流路を使うよりも素早く様々な組成のLNP調製が可能となります。
  11. Fine-tuning the encapsulation of a photosensitizer in nanoparticles reveals the relationship between internal structure and phototherapeutic effects.
    J Biophotonics. 2023 Mar;16(3):e202200119.
    薬剤のミトコンドリア送達用脂質ナノ粒子MITO-Porterに光線力学的療法で用いられる脂溶性低分子光増感剤rTPAを内包したMITO-Porter(rTPA)の開発とその活性評価に関する論文です。MITO-Porter(rTPA)の調製にiLiNP型のマイクロ流路が使われています。iLiNPを使用することで高いrTPA内包率(約80〜100%)のLNP製剤(粒径約70nm)を調製できました。
  12. Self-homing nanocarriers for mRNA delivery to the activated hepatic stellate cells in liver fibrosis.
    J Control Release. 2023 Jan;353:685-698.
    肝線維化の進行において重要な役割を果たす活性化肝星細胞(aHSCs)へmRNAを選択的に送達するための新規脂質ナノ粒子(LNP)を開発した旨の報告です。aHSCsへの薬物デリバリーは一般に難しいと言われていますが、独自の脂質ライブラリーを持つ筆者がマイクロ流路デバイスiLiNPを用いたLNP試作及び最適化検証を実施した結果、独自脂質を含む有望な新規LNP組成を見出しました。更に選択的送達のメカニズムを解析したところ、脂質の一種であるC15A6がaHSCsに高い親和性を有すること、及びC15A6含有LNPがクラスリン依存エンドサイトーシスによってpKa(酸解離定数)依存的にaHSCsに取り込まれることを明らかにしました。肝星細胞への選択的送達にはビタミンAなどのリガンドが必要と考えられてきましたが、本論文はリガンド無しのLNPでも肝星細胞への選択的送達が可能であることを示した点で画期的であると考えられます。
  13. Controlling lamellarity and physicochemical properties of liposomes prepared using a microfluidic device.
    Biomater Sci. 2023 Feb 8. doi: 10.1039/d2bm01703b. Online ahead of print.
    20年以上前から臨床で使われているリポソーム医薬品は近年ではマイクロ流路デバイス等による連続生産も可能になっていますが、その際のリポソーム脂質膜のラメラ性(層構造)などについて詳しく解析されたケースは多くありません。そこで本論文ではマイクロ流路デバイスiLiNPを用いたパクリタキセル内包リポソームの調製において様々な調製条件を試行し得られたリポソームの物性との関連を調べました。結果、原料脂質の初期濃度と原料液(2液)の流量比を変えることで脂質膜の膜数が変化することがわかり、iLiNPで多重膜にしたリポソームでは内包したパクリタセルの放出が緩やかになることを確認しました。リポソーム等による薬剤内包化のメリットの一つとして徐放性の付与が挙げられますが、本論文では徐放性プロファイルを原料濃度と流量比というシンプルなパラメーターでも簡単に調整できることを示した点で大変有用なものと考えられます。
  14. Mass production system for RNA-loaded lipid nanoparticles using piling up microfluidic devices.
    Applied Materials Today 31 (2023) 101754
    北海道大学で発明されたiLiNPマイクロ流路デバイスはこれまで主にラボスケールでのナノ粒子製剤調製用デバイスとして国内外の数多くのユーザー様にご愛用いただいていますが、mRNAワクチン(脂質ナノ粒子製剤)の急速な普及等に伴いナノ粒子製剤の大量生産が可能なマイクロ流路デバイスについても需要が急増しております。
    北海道大学と信越化学工業(株)の研究チームはこのたび、それぞれの強みを発揮したナノ粒子製剤大量生産用のマイクロ流路チップを新規開発し論文として発表しました。本研究成果は北海道大学発のiLiNP技術を用いたナノ粒子製剤開発・製造におけるケイパビリティ拡大に資する大きな成果となります。
  15. Lipid nanoparticle-based ribonucleoprotein delivery for in vivo genome editing.
    J Control Release. 355 (2023) 406-416
    CRISPR-Casシステムで使用されるCasタンパク質とguide RNAの複合体 (gRNA-Cas9 complex (RNP))をiLiNPを用いて脂質ナノ粒子 (LNP) に内包化した論文になります。Cas9 をコードするpDNAやmRNAを内包したLNPと比べて、RNP内包LNPは安全性が高いことが期待されています。本論文ではgRNAと共にRNPに取り込ませる一本鎖オリゴヌクレオチドを最適化して高い遺伝子ノックダウン効率 (70〜80%) を達成しました。
  16. A system that delivers an antioxidant to mitochondria for the treatment of drug-induced liver injury.
    Scientific Reports volume 13, Article number: 6961 (2023)
    コエンザイムQ10を搭載したミトコンドリア指向性脂質ナノ粒子(CoQ10-MITO-Porter)を創製し、アセトアミノフェンの過剰摂取による肝障害(APAP肝障害)に対する治療効果を検証した論文になります。
    APAP肝障害は酸化ストレスの増大によって引き起こされるミトコンドリア関連疾患の一種であり、抗酸化作用があるCoQ10の投与はAPAP肝障害の予防又は治療において効果が期待されますが、ミトコンドリアにCoQ10を効率的に送達する方法がありませんでした。本論文ではミトコンドリア指向性を示す脂質ナノ粒子組成(MITO-Porter)を採用し、かつiLiNPデバイスを使用してMITO-Porterの粒径を約50nmに制御することで肝細胞への移行性を増やし、さらにCoQ10をMITO-Porterに搭載することでAPAP肝障害モデルマウスへの投与において治療効果を示唆する結果が得られました。
  17. Construction of the systemic anticancer immune environment in tumour-bearing humanized mouse by using liposome- encapsulated anti-programmed death ligand 1 antibody- conjugated progesterone.
    Frontiers in Immunology (2023) 14:1173728.
    プロゲステロン(P4)と抗PD-L1抗体を搭載したリポソームを用いて全身的ながん免疫環境の調節に成功した論文になります。
    P4はホルモンの一種でありこれまでの研究で高濃度P4存在下ではがん細胞や活性化T細胞が死滅する一方でナイーブT細胞や休止期のメモリーT細胞は生存することが示唆されています。そこで高濃度のP4を内包し且つ抗PD-L1抗体を表面に担持したリポソーム(平均粒径44nm)をiLiNP等を用いて作製し、PD-L1発現がん細胞を担持するマウスに投与してみたところ、腫瘍の増殖抑制など期待した効果が見られました。
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