マイクロ流路チップの取り扱いについて(詰まり対策)

弊社で販売しているマイクロ流路チップは使い方やお手入れが不適切ですと流路詰まりが発生し新品でも使用不可能になることがあります。

流路詰まりの原因は様々ですが、ここでは予想される主な詰まりの原因とその対策をご紹介します。

原因1. ゴミが混入
空気中や溶液中には目に見えないゴミやほこりが含まれています。また購入した試薬に最初から微細なゴミが入っている場合もあります。これらが流路内に侵入すると流路詰まりの原因となります。
対策:ほこりが立ちにくい部屋で実験を行ってください。また使用する溶液は可能な限りフィルター濾過してゴミを取り除いてからご使用ください。

原因2. 流路内の洗浄が不十分
マイクロ流路チップで粒子を作っている間に難溶性の凝集体が徐々に付着し堆積して最終的に流路を詰まらせる場合があります。
対策:実験で使用している溶媒でなるべく高頻度に流路を洗浄してください。また可能であれば洗浄後に実体顕微鏡で流路部分を観察し堆積物が残っていないか確認してください。溶媒での洗浄では改善が見られない場合で且つ粒子原料として脂質を使用している場合は50mM水酸化ナトリウム水溶液での流路洗浄をお試しください(水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後は速やかに純水でリンスしてください。)

原因3. 送液を止めたまま放置
粒子原料である脂質、ポリマーや難溶性薬剤の溶液をマイクロ流路チップ内に流した後、送液を止めてそのまま放置していますと流路内に残ったそれら溶液が中途半端に混合希釈されて沈殿を生じてしまい、流路を詰まらせることがあります。
対策:送液を止めている状態をできるだけ短くし、粒子作製が終わったらそのまま放置せず速やかに流路を洗浄してください。

原因4. 流路素材を溶解する溶媒を流した
現在販売しているマイクロ流路チップのうち素材としてシクロオレフィンポリマー(COP)またはポリジメチルシロキサン(PDMS)を使用しているものは、特にクロロホルムやヘキサンなどの有機溶媒を流すと流路素材が溶け出して流路を塞いだり流路が膨潤して破壊することがあります。
対策:石英ガラス製以外のマイクロ流路チップを使用する場合、有機溶媒はなるべく低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなど)を使用し、それ以外の有機溶媒はできるだけ使用しないでください。もし低級アルコール以外の有機溶媒を使用したい場合はマイクロ流路チップについて短時間・単回(使い捨て)使用いただくか、使用法について弊社にご相談ください。

原因5. 希釈速度が遅い
iLiNPシリーズは粒径制御性を高めるため「(特に低流速領域では)あえて積極的に粒子原料溶液を混合しない」ことをコンセプトにしています。従って2液の組み合わせによっては、ゆっくりとした希釈過程において「孤立分散した粒子の形成」よりも「大きな凝集体の形成」の方が優位となり、それが詰まりの原因となる可能性があります。
対策:もしそのような傾向が見られた場合は、以降できるだけ高流速条件で粒子形成を行い、粒子作製
が終わったらそのまま放置せず速やかに流路を洗浄してください。

原因6. 原料溶液と流路素材の相性
粒子原料の中には流路表面に吸着しやすい性質のものもあるようです。またCOP製マイクロ流路チップは製造の過程でプレート張り合わせ用のカップリング剤を使用しているため、流路表面に残存するわずかな量のカップリング剤と粒子原料が反応してそこから流路詰まりが生じる可能性もあります。
対策:状況に応じて別素材の流路チップを提案させていただきます。詳しくは弊社にご相談ください。

原因7. 元々凝集が生じやすい粒子原料の組み合わせを試している
マイクロ流路チップの種類に関わらず混合希釈の過程で凝集が生じやすい原料液の組み合わせもあるようです。
対策:予備実験としてマイクロ流路を使用せずに原料液を混合してみて、巨大な凝集体が速やかに生じないことを確認してから、マイクロ流路チップを使用してください。

特に処方(配合)検討の段階では様々な原料の組み合わせを試すことになり、結果として上述の原因が起こりやすい状況となります。ナノ粒子製剤の処方検討に慣れていないお客様は弊社の受託開発・試作サービスもご検討ください。

マイクロ流路チップiLiNP1.0シリーズ(COP樹脂製)、iLiNP2.0シリーズ(石英ガラス製)をご使用のお客様で、流路が詰まりそうになった場合または詰まらせてしまった場合は、そこで諦めず弊社にご相談ください。

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